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骨バンク

専門外来

名称をクリックすると、左図にその部位が示され、下部に説明内容が表示されます。

 脊椎外科  膝関節外科  スポーツ整形外科
 股関節外科  手・肘・肩関節外科  関節リウマチ
 外傷・再建外科  小児整形外科  骨粗鬆症

脊椎外科

脊椎グループは、脊柱側弯症を専門とする高相晶士教授を中心に、日本脊椎脊髄病学会認定指導医5人、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医5人を含む、合計8人で診療にあたっています。教授の専門である脊柱側弯症から腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなど、頸椎から腰椎における様々な疾患の治療を行っております。脊椎疾患においては、その診断が最も重要です。受診していただいた患者様に対しては、まず、丁寧な問診と診察、内服、コルセットなどの保存療法のほか、ブロック注射(仙骨裂孔硬膜外ブロック、神経根ブロック、分離部ブロック等)などの診断的治療などの保存療法をしっかりと行ったうえで、患者様が期待されるほど効果が得られなかった場合に手術療法を検討します。安易に手術を第1選択とすることはありません。手術療法を選択せざるを得ない状況になった時にも、最も適切と考えられる手術方法を提案させていただき、その手術で得られる効果、メリット、デメリットをすべてお話しさせていただき、そのうえで手術を行わせていただきたいと思っております。月曜日と木曜日に脊椎専門外来を行っております。お近くの病院で紹介状を書いていただいたうえで受診してください。背骨のことでお悩みの方は是非一度ご相談ください。

[ 主な対象疾病 ]
腰部脊柱管狭窄症、腰椎分離症・腰椎すべり症、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱側弯症(Duchenne型筋ジストロフィーなどに伴う症候性側弯症、特発性側弯症)、頸椎椎間板ヘルニア、頸椎症性脊髄症、頸椎症性神経根症、頸椎症性筋萎縮症、後縦靭帯骨化症、黄色靭帯骨化症、転移性脊椎腫瘍、脊椎外傷、脊髄腫瘍、リウマチ性脊椎疾患、透析性脊椎疾患、骨粗鬆症
[ 主な治療・手術 ]
ナビゲーションシステムを用いた側弯症後方矯正固定術、Love法髄核摘出術、腰椎後方侵入椎体間固定術、低侵襲経椎間孔侵入腰椎椎体間固定術、頸椎棘突縦割式脊柱管拡大術、頸椎片開き式脊柱管拡大術、胸椎・腰椎低侵襲脊椎固定術、頸椎前方固定術、ナビゲーションシステムを用いた頸椎後方固定術、Baloon Kyphoplasty など
[ 所属医師 ]
高相晶士、井上 玄、中澤俊之、井村貴之、宮城正行、池田信介、三村悠祐、田中慶秀 

安全性を第一に考えて行われる脊柱側弯症手術

脊柱側弯症は発生率1%ほどの比較的まれな疾患ですが、思春期に発症すること多く、進行すると、脊柱変形に伴い外観上の変形だけではなく、呼吸器などの内蔵器合併症も問題になることがある疾患です。
当院では、側彎症の中でも最も多い特発性側弯症のほか、比較的まれな症候性側症の治療にも取り組んでいます。当科の特徴として、ナビゲーションシステムと神経刺激装置を用いて安全な手術を心がけていることが挙げられます。

ナビゲーションシステムとは、術前に取り込んだ画像データから術中にスクリューの入れる方向や、深さをリアルタイムでモニターで見ながら刺入するシステムです。
神経刺激装置とは、術中に神経に電気を流して、スクリューの刺入や矯正操作によって神経が麻痺を起していないかを確認する装置です。 これらの装置を用いることでスクリューの刺入をより安全に行うことが可能です。


    Duchenne 型筋ジストロフィーに伴う側弯症の症例。手術前は100°以上のカーブを認め、座位のバランスが崩れていた。
  合併症なく手術を終え、手術後のカーブは20°まで改善し、座位のバランスも著名に改善した。

腰部脊柱管狭窄症、増加中!

立っていたり、歩いていると腰痛や下肢の痛み、しびれが出現し、座って休むと症状が改善して再び歩けるようになる(間欠性跛行)を特徴とする病気です。高齢化社会に伴い、また、MRI などの画像診断技術の向上に伴い、患者様は増えています。ただし、似たような症状で血管の病気(閉塞性動脈硬化症)などが隠れていることもあり、まずは診断が重要です。生活改善や、内服、ブロック注射などの保存療法でも症状の改善が乏しい場合には、手術療法を行います。手術方法は、椎弓還納式脊柱管拡大術、椎弓形成術などが主に行われております。腰椎の靭帯、骨(椎弓や棘突起)、関節を温存する手術方法を選択しています。病気の状態により、適切な方法を選んで行っています。

低侵襲手術MIS(Minimum invasive surgery)の導入

腰椎の並びがずれてしまい、脊柱管が狭くなることで、腰痛や下肢の痛みやしびれが出る腰椎すべり症や、交通事故や転落外傷などの大きなエネルギーが背骨にかかっておこる脊椎破裂骨折に対しては、一般的に脊椎の固定術が行われます。当院では、症例を選び、低侵襲手術での固定術:MIS(Minimum Invasive Surgery)を行っております。MIS とは、大きな傷で広範囲に筋肉をはがすことなく、小さな皮膚切開でスクリューやロッドを設置すること手術です。

手術のタイミングが大切な頸椎症性脊髄症

首の中枢神経である頸髄が圧迫されて手指の動きが悪くなったり、足がつっぱって歩きづらくなってしまう病気です。軽傷の場合は、頸椎カラーなどの保存療法で経過観察が可能ですが、進行性である場合には適切な時期に手術が必要になります。手術方法としては、棘突起縦割式脊柱管拡大術と片開き式脊柱管拡大術を行っています。病気の状態に合わせて選択して行っています。

股関節外科

股関節外科は、北里大学整形外科学初代教授 山本 真教授、先代 糸満盛憲教授より受け継がれてきた当教室の看板の1つであります。現在は高平尚伸、内山勝文、福島健介の3人のスタッフがチームとして主に診療に従事しております(それぞれの外来日はご確認下さい)。当股関節外科の特徴として、乳児から老年期までの全ての年代、日常生活動作の獲得からトップアスリートまでの全ての生活レベル、すべての股関節、鼠径部痛に対して高いレベルの加療を提供できることが挙げられます。その具体例として、”関節温存手術”である、”骨切り術”、”股関節鏡視下手術”の手術に関しては、非常に多くの症例数、長期にわたる経験を有しています。わずか10cmの傷で手術が可能なCPO(Curved Periacetabular Oseteotomy)の施行、強固な内固定剤の使用による早期リハビリテーション、3Dプリンター技術を用いた患者さん個人の3次元実物大モデルを用いた術前のシミュレーションなど、積極的に最善の方法を追求し、多くの患者さんに高い評価をいただいております。また、股関節痛の原因として近年注目されていますFAI(Femoroacetabular impingement)、股関節唇損傷、スポーツ股関節傷害に対する診療、股関節鏡視下での手術も積極的に行っております。 近年、人工股関節の良好な長期成績が望めるようになり、人工股関節の手術件数が増加してきています。当院においても、年々その数は増加しております。初回人工関節置換時には最少侵襲手術(MIS:可能な限り傷を小さくし、筋肉を切らない方法)を可能な患者さんには全例行っており、安全かつ確実な手術、術後早期社会復帰を目指しています。また当教室は東日本で唯一である、組織移植学会認定骨バンクを有しており、人工関節再置換術(入れ替え)の際にも可能な限り生物学的、解剖学的な股関節再建を目指しております。もちろん、運動療法や薬物療法等の保存療法(手術ではない治療法)が手術の前提であり、十分な保存療法にも対応しております。 股関節痛や股関節機能障害に悩む全ての患者さんの為に、最善の努力をさせていただく所存ですので是非ともご相談いただければと思います。なお、他院にて既に加療中の場合、おかかりの施設からの紹介状、検査結果等をお持ちの上で来院していただきますと、大変診療の参考になりますのでよろしくお願いいたします。

[ 主な対象疾病 ]
全ての股関節痛、変形性股関節症、大腿骨頭壊死、股関節周囲外傷、股関節炎、FAI、股関節唇損傷など
[ 主な治療・手術 ]
人工股関節置換術、人工股関節再置換術、各種骨切り術(CPO、Chiari骨盤骨切り術、大腿骨内反骨切り術、大腿骨外反骨切り術、大腿骨頭回転骨切り術)、股関節鏡視下手術など
[ 所属医師 ]
高平尚伸、内山勝文、福島健介、大橋 慶久

"関節温存"を追求した、治療方針

当教室の股関節に対する基本的な考え方は”関節温存を第一に考える”で、その一貫とした考え方は、日本だけでなく世界の中でも屈指のものであると自負しています。人工関節隆盛の昨今ですが、関節温存、関節再生を目指す骨切り術を手術治療の柱においています。骨切り術を行った後に再生されていく股関節には、”生体の妙”を感じ、一例一例に特別な感慨が生まれます。股関節疾患におけるほぼ全ての手術手技を行っている教室として日本股関節学会認定トレーニング施設にも指定されています。

低侵襲な治療、股関節鏡視下手術

近年、周辺機器の充実等により、股関節鏡視下手術(股関節に対する関節鏡を用いた手術)が欧米を中心に行われるようになってきました。当院でも、適応のある患者さんには積極的に導入しています。その症例数は全国でも有数であり、良好な成績を挙げています。
股関節鏡視下手術の対象となる病態・疾患
・ 股関節唇損傷
・ 股関節インピンジメント(Femoroacetabular Impingement)
・ 股関節内遊離体、腫瘍
・ 股関節の感染症
・ 滑膜炎(かつまくえん)
・ 原因不明の股関節痛の原因究明(診断的股関節鏡検査)

股関節鏡手術は当院では基本的に全身麻酔で行っております。患者さんは手術前日ないし前々日に入院していただきます。関節内の状態と処置によって、入院期間、療養期間は異なってまいりますので、個々の症例によってご相談させていただきます。
術後のリハビリテーションにも力を入れており、トップアスリートにも対応した体制を整えております。

これらの適応となる疾患患者さんの中には、まだわが国では概念がはっきりしないために、原因不明と他院で診断されていたり、異なる診断で加療されていたりする例があります。受診される際には、他院で施行されている検査結果、画像資料等がありましたらご持参いただきますと、大変診療の参考になりますのでお持ちいただくようよろしくお願いいたします。

人工股関節全置換術の成績向上のために

人工股関節全置換術(THA:Total Hip Arthroplasty)の手術件数は、年々増加傾向にあり、現在日本では年間4万件以上の手術が行われています。しかし、THAには耐久性(長期的な弛み)や感染症といった問題が完全には解決されていません。私たちは、”安全かつ確実で再現性の高い(どのような患者さんに対しても同様の質を提供できる)手術“に加えて、”早期社会復帰“を目指しています。初回人工関節置換時には最少侵襲手術(MIS:可能な限り傷を小さくし、筋肉を切らない方法)を可能な患者さんには全例行っており、積極的なリハビリテーションを推奨しています。加えて、感染や深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)等の手術合併症に対する対策、研究も積極的に行っています。これまでに当院で行ったTHAの結果を振り返るだけでなく、学会・研究会へ積極的に参加し、また最新の医学論文から知見を得るなど、常に向上心を持ち続け、より質の高い医療を実践しています。
人工関節を入れ替える必要がある再置換術においても、骨欠損が著しい症例に対しては、当教室は東日本で唯一である組織移植学会認定骨バンクを有しており、同種骨移植を併用した生物学的な股関節再建手術を行っており、その成績は全国的にも認められ、遠方からも多くの患者さんをご紹介いただいています。

外傷・再建外科

外傷チームの紹介をさせていただきます。外傷とは怪我のことで、例えば交通事故や転倒転落で生じた骨折や脱臼などがこれに該当します。当院には救急救命センターがあり、多発外傷など重傷な患者さんが搬送されてきます。その中で我々外傷整形外科医は救急科をはじめ外科、脳外科、形成外科など関係する各科と協力し外傷治療に携わっております。外傷チームは整形外科医師4~5名が担当し、一人一人の患者さんを丁寧に診療する体制をとっています。また、基礎疾患や合併症があり他院での治療が困難である患者さんの場合は一般外来での診療も行っており、各科と協力して外傷の治療を行っております。特に高齢者の患者さんに対しては早期社会復帰と合併症予防のため積極的な治療と早期離床、早期リハビリテーションを心がけております。当院は急性期の診療を行っているため、手術後は連携病院を紹介してリハビリテーションを継続していただいております。

[ 主な対象疾病 ]
多発外傷、骨盤骨折、重度四肢外傷、合併症を伴う四肢骨折
[ 主な治療・手術 ]
観血的骨接合術(髄内釘固定、プレート固定、創外固定)
[ 所属医師 ]
松浦晃正、河村 直、庄司真太郎

膝関節外科

膝関節外科では変形性膝関節症や関節リウマチに対する治療、膝関節周囲の靱帯損傷に対する治療を行っております。まず運動療法や装具療法といった保存的治療を検討し、疼痛や機能改善が得られない症例に対して手術治療を行います。高齢な患者様も多く、安全に手術を行えるよう内科や麻酔科と連携し準備を進めていきます。
現在は相川淳、岩瀬大、高野昇太郎の3人のスタッフが1つのチームとして人工膝関節置換術や人工膝関節再置換術を行っております。特に骨欠損の強い場合は(当院は東日本で唯一である組織移植学会認定骨バンクを有しているため)、同種骨移植を併用した治療も検討して参ります。
膝関節鏡視下手術における前十字靱帯再建では半腱様筋腱を再建材料とした2重束靱帯再建が行われていますが、当科では同種骨移植を用いて膝蓋骨と膝蓋靱帯および脛骨の一部(Bone-tendon-bone:BTB)を再建材料とした方法も行っており、自家組織を採取する必要がないので手術による創が小さくできます。通常の自家組織を用いた2重束再建やBTBによる治療、半月板断裂に対する鏡視下縫合術や関節リウマチの滑膜炎に対する鏡視下滑膜切除なども行っております。
チーム一同で各疾患に適した治療を検討し、機能改善を目的とした治療を行うべく日々研鑚しております。膝関節疾患で支障を抱える患者様は一度、外来に受診していただければ幸いです。セカンドオピニオンでも積極的に対応させていただきますのでどうぞご検討ください。

[ 主な対象疾病 ]
変形性膝関節症、関節リウマチに伴う膝関節変形、膝前・後十字靱帯断裂、半月板断裂など
[ 主な治療・手術 ]
人工膝関節置換術、人工膝関節再置換術、高位脛骨骨切り術、膝関節鏡(鏡視下靱帯再建、半月板縫合、部分切除)など
[ 所属医師 ]
相川 淳、岩瀬 大、迎 学

手術支援ロボットを併用した人工膝関節全置換術(Total Knee Arthroplasty)

変形性膝関節症や関節リウマチで保存的治療では改善しない疼痛を緩和し、膝関節の変形を矯正できる人工膝関節全置換術は現在、最も広く受け入れられ安定した成績が求められる手術です。疼痛により制限されていた日常生活動作やウォーキングなどの運動が行えるようになります。また人工膝関節置換術は医療環境や技術、素材が進歩し15年から20年の耐久性が期待できますが、場合によっては再置換術を要することも少なくありません。そこで骨欠損が強い症例に対しては当院にある骨バンクに保存した同種骨を積極的に移植し、可能な限り骨温存を目指した手術を行っています。
また、当院では2021年12月に人工関節手術支援ロボットを導入しました。手術支援ロボットを使用することにより、従来よりもさらに安全で確実な手術を行えるようになりました。精度の高い手術により、患者さんの満足度の向上や手術におけるリスクの低下が期待できます。また、術者の熟練度に関わらず安定した手術を行いやすくなるため、若手医師の教育にも適しています。

人工関節手術支援ロボットを導入しました

自家培養軟骨移植術を導入しました!

2019年12月から、当院で自家培養軟骨による膝関節軟骨の治療が保険で受けられるようになりました。
関節の軟骨には血管がないため、一度損傷すると修復が難しく、広範囲の欠損には有効な治療法がないとされてきました。自家培養軟骨移植術は患者さん自身から採取した少量の軟骨細胞を、コラーゲンの一種であるアテロコラーゲンゲル内で4週間培養し、軟骨欠損部位に移植します。これまで難しいと言われていた大きな軟骨損傷の治療を可能にする最先端治療です。この手術の適応となるのは、一定の条件を満たした「外傷性軟骨欠損症」または「離断性骨軟骨炎」の患者さんです(変形性膝関節症は治療できません)。自家培養軟骨は、患者さん自身の細胞を使うので拒絶反応がきわめて少ない点、少量の軟骨から細胞を増やすことができるので、広範囲の軟骨欠損にも有効である点などのメリットがあり、治療後は膝の痛みが改善することが確認されています。

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膝前十字靭帯断裂にアログラフトも!

サッカー、バスケット、ラグビー、柔道、ほぼ全てのスポーツで発生しうる膝前十字靭帯断裂。放置すると半月板断裂や変形性膝関節症を続発させてしまいます。北里大学では、通常の骨付き膝蓋腱(BTB)による再建術や、ハムストリング(ST,G)による解剖学的2重束再建術だけでなく、アログラフト(同種靭帯:ご遺体から同意のもとに採取された靭帯 骨バンクコーナー参照)による再建術も提供できます。海外ではよく行われている術式ですが、国内で骨バンクが整備された施設は当院含めて2つしかありません。選手生命を脅かすこの怪我は、残念なことに再建術後の再断裂や反対側(健側)の断裂が意外と高い頻度で起きてしまいます。自己組織採取による筋力低下を避けたい方、再断裂の方、傷を小さくしたい方などが適応と考えております。

手・肘・肩関節外科

上肢(手・肘・肩関節外科)グループは、故二見俊郎教授が中心となり結成され、上肢の変形性関節症や骨折の治療方法を全国に提案してきました。その後、小林明正講師、岡田貴充講師に引き継がれ、現在は小沼賢治、見目智紀、助川浩士が担当しています。
整形外科は外科ですので、手術を中心とした治療を行う印象があるかと思いますが、上肢グループでは二見教授時代から、手術だけに頼るのではなく、リハビリテーションや装具療法などの保存療法を併用した治療を行っています。保存療法は、近隣の病院や整形外科クリニックとの連携の他、病状によってはリハビリテーションを担当する作業療法士や装具作製を担当する義肢装具士と協力し行っています。まずは保存療法で症状の改善が得られるかどうかを検討しますが、保存療法で改善が得られない患者様の中で、手術により改善が見込めると判断した患者様に対しては手術をお勧めします。上肢は細い神経や血管、比較的小さな関節から成り立っているため、手術は拡大鏡(ルーペ)、手術用顕微鏡、関節鏡などを用いてなるべく低侵襲な手術を心がけています。手術は関節や骨を修復し、構造や機能をなるべく元に戻すことが目的です。そのため手術はゴールではなく再スタートです。術後、再建した関節や骨を上手に使用できるようにリハビリテーションを行っていただき、日常生活に復帰できるようにお手伝いします。肩、肘、手でお困りの方、是非お気軽にご相談下さい。

上肢の外傷(脱臼、骨折、靱帯断裂、神経断裂、スポーツ外傷など)、絞扼性末梢神経障害(手根管症候群、肘部管症候群など)、上肢の変形性関節症や関節リウマチによる機能障害、上肢腫瘍性疾患、野球肘、投球障害肩など上肢スポーツ障害全般、肩関節周囲炎、肩腱板断裂、関節拘縮
[ 主な治療・手術 ]
脱臼・骨折に対する手術、絞扼性神経障害に対する手術、関節鏡下手術(肩関節、肘関節、手関節)、人工関節置換術(肩関節、肘関節、手指関節)、関節リウマチに対する上肢再建手術
[ 所属医師 ]
助川浩士、小沼賢治、見目智紀、田澤 諒、大竹悠哉

手のしびれは意外と多いものです。

われわれのチームでは手術の対象となる疾患は多岐にわたります。その中で多いのは絞扼性末梢神経障害に対する手術です。絞扼性末梢神経障害とは神経が圧迫を受けてしびれや運動障害を来す病態です。この中で手根管症候群は代表的な疾患の一つです。手根管症候群では親指から薬指がしびれ、進行すると手指の痛みや親指の運動障害が症状として現れます。手術は症状の改善と進行予防を目的に行います。写真は手根管症候群に対する小切開手根管開放術です。  上の写真は手術前に手のひらに描いた皮膚切開予定部です。約2cmの小切開で手根管開放術を行います。下の写真は正中神経の圧迫を解除した後の写真です。小切開でも正中神経が十分確認できます。

肩の痛みや動かし難さ 〜それ、本当に50肩ですか?〜

肩が痛くて眠れない、腕が上がらなくなってきた。こんな症状の時、「それは50肩だよ、どんどん動かさないと動かなくなっちゃうよ。」なんて聞きますが、ちょっと待って下さい。肩が痛い原因には色々あります。どの方向にも動きが制限される場合いわゆる50肩かも知れませんが、前には上がるのに横からだと痛くて腕が上がらない場合、腱板という腕の骨と肩甲骨を繋ぐ筋肉の断裂かもしれません。肩の治療で大切な事は適切な消炎鎮痛とリハビリテーションです。また腱板断裂や肩関節拘縮では手術が必要な場合もあります。当科では腱板断裂や肩関節の脱臼に関しては関節鏡を用いた低収集手術を行っております。肩の痛みはすぐに取れませんが,その痛みがどうしたら良くなるのか一緒に向き合って行きたいと思っております。是非ご相談下さい。

投球障害肩、野球肘

ボールを投げると肩や肘が痛くなる。休むと痛みは取れるけれども、投げ始めるとまたすぐ痛くなる。こんな事ありませんか?痛いのは肩、肘ですが、痛みの原因はフォームにあります。肩肘に負担がかかるフォームを治すには、なぜ負担がかかるのかという原因を探らなければなりません。その原因は股関節や背骨の動きの悪さや足の不安定感など様々です。当科では肩肘の痛みの精査、治療中に股関節や背骨等痛みの無い部分の改善を図り、肩肘の痛みが改善してからのスムーズな競技復帰を目指します。痛める前よりも強く、上手くを目標に治療致しますので、是非ご相談下さい。

小児整形外科

小児整形では次の疾患などが対象となります。
①先天性股関節脱臼、単純性股関節炎、化膿性股関節炎、ペルテス病、大腿骨頭すべり症などの股関節疾患。②内反足などの足部変形。③特発性側湾や症候性側湾の脊椎変形や脊椎奇形。④骨折や骨端線損傷の外傷。⑤骨形成不全などの骨系統疾患。⑥脳性まひ児における股関節脱臼や機能障害。
上記以外にも何か相談があるご両親はいつでも外来にいらしてください。まず初診で拝見させていただいた後に治療に応じたスタッフが診察を担当いたします。例えば、4か月検診で股関節が固く開排できないと指摘され多くの乳児が受診しています。まず、問診や触診を行ないエコー検査で股関節を診ます。股関節脱臼や臼蓋形成不全が疑わしければ単純レントゲン像を確認後、股関節脱臼と診断された場合はリーメンビューゲル装具を約3カ月着用してもらいます。それでも変形が残存したり脱臼が整復されなければ必要に応じて手術を行ないます。
小児整形の領域は非常に多岐にわたりで年齢や疾患も様々です。怪我をされたり障害を持った子供たちがその後の成長とともに機能を回復できるように治療を行なっていきます。脊椎疾患では側湾矯正手術を最も得意とする高相医師が中心となって、股関節疾患では装具療法や手術療法を行ない、乳児期では相川、岩瀬医師が、学童期以降は内山医師が中心になり外来診療や手術を担当しております。また、脳性まひ児に対する治療では南多摩整形外科病院と連携し痛みや脱臼の原因となっている緊張の強い筋肉に対して腱延長や腱切離を行ない、上下肢と体幹のバランスを調整し、座位の安定や寝返りや立位・歩行の獲得を目的に手術治療 を行なっています。骨折あるいは骨髄炎治療においては救急外傷外科の峰原医師が担当し日々、大腿骨骨折や小児に多い上腕骨顆上骨折や外顆骨折に対する観血的骨接合、骨髄炎に対する洗浄療法を行なっています。
このように小児整形には多くの医師が連携し対応しています。どうぞ一度外来に受診して下さい。

[ 主な対象疾病 ]
①先天性股関節脱臼、単純性股関節炎、化膿性股関節炎、ペルテス病、大腿骨頭すべり症などの股関節疾患。②内反足などの足部変形。③特発性側湾や症候性側湾の脊椎変形や脊椎奇形。④骨折や骨端線損傷の外傷。⑤骨形成不全などの骨系統疾患。⑥脳性まひ児における股関節脱臼や機能障害。
[ 主な治療・手術 ]
先天性内反足に対する内反足手術、先天性股関節脱臼の観血的整復術、大腿骨頭すべり症に対する骨頭下骨きりや固定術、特発性側湾症や症候性側湾に対する矯正術、脳性まひ児に対する変形矯正術や腱延長術、大腿骨減捻内反骨きり術など
[ 所属医師 ]
高相晶士、内山勝文、相川 淳、岩瀬 大

脳性麻痺に対する外科的治療(選択的緊張筋解離術)

脳性麻痺の患者さんは筋肉の緊張が強く、日々耐え難い痛みに苦しんでいます。適切な治療が行なわれず、骨や関節の変形が出現することもしばしばあります。われわれは、南多摩整形外科病院の松尾隆先生から指導を受け、外科的治療(選択的緊張筋解離術や骨切り術)を行うことで、疼痛の緩和を目指しています。手術を行なうことによって動かしやすさや使いやすさの向上が認められることがしばしばあります。首、腰、肩、肘、股関節、膝関節、足関節など筋緊張が起こるすべての部位に有効な手術方法と考えています。

スポーツ整形外科

スポーツ外傷・障害には様々な疾患があります。全身の筋肉、腱、靭帯、関節、骨にそれぞれ特徴を持った疾患があるため、一般整形外科医ではなくスポーツ医学の専門医が正しく診断し、原因を見極め、治療の方針を立てていく必要性があります。ときにはリハビリ(保存治療)で全身の柔軟性や機能を出しやすくコンディションを修正することが治療の中心となり、ときには間髪入れずに手術を要する場合もあります。手術の場合は関節鏡手術を積極的に使用し、低侵襲な手術を患者様に提供しております。上肢の疾患は北里大学東病院で、下肢の疾患は北里大学病院(通称、本院)で診察しております。また平成23年より日本フットサルリーグ所属のペスカドーラ町田と正式に提携し、医療サポートを担っております。スポーツ少年・スポーツ愛好家からトップアスリートまで幅広く対応し、日々研鑽を積んでおります。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

[ 主な対象疾病 ]
上肢:リトルリーグ肩、反復性肩関節脱臼、腱板断裂、肩インピンジメント症候群、野球肘(離断性骨軟骨炎)、肘部管症候群、三角線維軟骨(TFCC)損傷、槌指など。
下肢:股関節インピンジメント(femoroacetabular impingement)、股関節唇損傷、スポーツヘルニア、膝前十字靭帯損傷、半月板損傷、足関節捻挫(靭帯損傷)、足関節インピンジメント症候群(衝突性外骨腫、有痛性三角骨障害)、距骨骨軟骨障害など
[ 主な治療・手術 ]
肩関節鏡(腱板修復術、バンカート修復術、デブリドメント)、股関節鏡(関節唇修復術、関節形成術)、足関節鏡(三角骨・骨棘・滑膜切除、ドリリング)、靭帯再建術(前十字靭帯、足関節外側靭帯、ともに骨・靭帯バンクを利用した再建術も提供可能) 骨軟骨柱移植術(肘、膝、足)、リハビリテーション
[ 所属医師 ]
高平尚伸、見目智紀、福島健介

関節リウマチ

整形外科関節リウマチ外来(小沼担当)では、痛みや運動障害でお困りの関節リウマチに罹患された患者様への、抗リウマチ薬、装具、リハビリテーションによる保存療法に加え、手術療法の提案を行っています。関節リウマチの治療の基本は抗リウマチ薬や装具による保存療法療であると考えています。しかし、これらの治療に十分反応せず、残念ながら関節変形が進行し、機能障害や痛みを有する患者様もいらっしゃいます。このような患者様に対しては、日常生活を少しでも過ごしやすくするために、残された組織や人工関節を利用した手術療法をお勧めすることになります。関節リウマチは全身すべての関節に変形をきたす疾患であるため、手術対象となる関節は全身に及びます。このため、整形外科各班専門スタッフが協力して、手術を行っています。手術療法をお勧めする際には、外来で手術のメリット、デメリットを十分ご説明し、患者様が安心して手術が受けられるようように心がけています。

[ 主な対象疾病 ]
関節リウマチ
[ 主な治療・手術 ]
手関節形成術(Sauve-Kapandji法、Darrah法)、滑膜切除術、手関節全固定術、手関節部分固定術、腱断裂再建術、人工指関節置換術、人工肘関節置換術、人工肩関節置換術、人工膝関節置換術、人工股関節置換術、足趾形成術、頚椎固定術など
[ 所属医師 ]
高平尚伸、助川浩士、中澤俊之、小沼賢治

指の人工関節、ご存知ですか?

膝の人工関節置換術は最も広く知られた整形外科手術の一つと思われます。実は、指にもれっきとした人工関節があるんです。それが、右に示すインプラントです。
当院では、日本で開発された機種の一つである、SLFJ(Self locking finger joint)を使用しています。
右の写真は手術を受けられた患者さんのレントゲンです。長年、指の痛みのため細かい作業ができなかった方が、この手術を受け、できるようになりました。

骨粗鬆症

本邦における高齢社会およびアジア諸国、先進各国における高齢化はますますすすみ、それに付随して骨粗鬆症罹患者は増加することが予測されております。骨粗鬆症における大腿骨頚部骨折は、骨折後高率に要介護になること、生命予後へ直接影響することが知られ、その予防のための骨粗鬆症治療が極めて重要であるとされております。また、初回骨折後に生じる複数回にわたる骨折発生危険率は、初回骨折の発生危険率に比較して非常に高いことから、初回骨折発生後の骨粗鬆症治療は極めて重要であると考えられています。
北里大学病院整形外科では、骨粗鬆症専門外来を設けて骨折高危険率症例を対象にエビデンスに基づき治療方針を立ててまいります。

[ 主な対象疾病 ]
原発性骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、ステロイド性骨粗鬆症、不動性骨粗鬆症
[ 主な治療・手術 ]
ビスフォスホネート製剤内服治療、活性型ビタミンD製剤内服治療、ビタミンK製剤内服治療、SERM製剤内服治療、PTH(副甲状腺ホルモン)製剤注射治療、カルシトニン製剤注射治療
[ 所属医師 ]
高相晶士、宮城正行、村田幸佑