上肢 機能再建のあくなき追求

肩が上がらなくなったら、肘が曲がらなくなったら、手指が動かなくなったらどうでしょうか?日常生活において上肢に求められる機能は多彩であり、失われた場合非常に不便になってしまいます。我々はその痛くて挙がらなくなった肩、動きが悪くなって手がなぜそうなったのか検討し、失われた機能を取り戻すべくよりよい治療を日々検討しております。原因は神経なのか、血流なのか、筋肉なのか?それを見極め、適切な検査を組みます。神経の伝達速度の計測や筋電図による評価、キシロカイン等のブロックを用いて疼痛改善後の動きを観察し、残されている機能を評価する等、診断には様々な手法があります。 治療の主役はリハビリテーションとなる事が多いです。我々は主にOTの先生方と協力しながら治療を進め、必要な時に適切な手術を行い患者さんのQOL改善を図ります。腱板断裂や反復性肩関節脱臼、肩肘関節の拘縮では関節鏡を積極的に用いて解剖学的な再建を行います。手の外科の領域では解剖学的な再建だけではなく、動かなくなった筋肉の代わりに他の腱を移行することで動作の代償を行う等再建の手法はバリエーション豊富です。どうですか?奥深い機能再建の道を一緒に追求してみませんか?

手のしびれは意外と多いものです。

われわれのチームでは手術の対象となる疾患は多岐にわたります。その中で多いのは絞扼性末梢神経障害に対する手術です。絞扼性末梢神経障害とは神経が圧迫を受けてしびれや運動障害を来す病態です。この中で手根管症候群は代表的な疾患の一つです。手根管症候群では親指から薬指がしびれ、進行すると手指の痛みや親指の運動障害が症状として現れます。手術は症状の改善と進行予防を目的に行います。写真は手根管症候群に対する小切開手根管開放術です。  上の写真は手術前に手のひらに描いた皮膚切開予定部です。約2cmの小切開で手根管開放術を行います。下の写真は正中神経の圧迫を解除した後の写真です。小切開でも正中神経が十分確認できます。 術前の皮膚切開デザイン 横手根靱帯を切離し正中神経が十分除圧されていることを確認しているところ

肩の痛みや動かし難さ 〜それ、本当に50肩ですか?〜

肩が痛くて眠れない、腕が上がらなくなってきた。こんな症状の時、「それは50肩だよ、どんどん動かさないと動かなくなっちゃうよ。」なんて聞きますが、ちょっと待って下さい。肩が痛い原因には色々あります。どの方向にも動きが制限される場合いわゆる50肩かも知れませんが、前には上がるのに横からだと痛くて腕が上がらない場合、腱板という腕の骨と肩甲骨を繋ぐ筋肉の断裂かもしれません。肩の治療で大切な事は適切な消炎鎮痛とリハビリテーションです。また腱板断裂や肩関節拘縮では手術が必要な場合もあります。
当科では腱板断裂や肩関節の脱臼に関しては関節鏡を用いた低収集手術を行っております。肩の痛みはすぐに取れませんが,その痛みがどうしたら良くなるのか一緒に向き合って行きたいと思っております。是非ご相談下さい。
50肩は主に関節包の炎症が原因です。そのため肩関節の全方向で動作時痛が認められます。腱板断裂では前方(屈曲)と側方(外転)で動く範囲や痛みの違いが出る事が多いです。

投球障害肩、野球肘

ボールを投げると肩や肘が痛くなる。休むと痛みは取れるけれども、投げ始めるとまたすぐ痛くなる。こんな事ありませんか?
痛いのは肩、肘ですが、痛みの原因はフォームにあります。肩肘に負担がかかるフォームを治すには、なぜ負担がかかるのかという原因を探らなければなりません。その原因は股関節や背骨の動きの悪さや足の不安定感など様々です。
当科では肩肘の痛みの精査、治療中に股関節や背骨等痛みの無い部分の改善を図り、肩肘の痛みが改善してからのスムーズな競技復帰を目指します。痛める前よりも強く、上手くを目標に治療致しますので、是非ご相談下さい。
野球肘は主に繰り返しの投球動作によって肘にかかった負担による障害です。内側はいわゆる「肘下がり」によって靱帯が引き延ばされ剥離骨折等を起こします。外側は肘の軟骨が障害されます(離断性骨軟骨炎)。肩肘の治療も必要ですが、治療には肩肘に負担のかかるフォームの原因(股関節の動き、胸が上手く張れない、足首がづらづらする等)を探って改善する事も必要です。

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